2021年1月1日以降から不妊治療の助成金が拡充されました。本記事では2021年から適用される東京都特定不妊治療費助成事業における不妊治療の助成金についてまとめます。参考元:東京都特定不妊治療費助成の概要
主な拡充内容として以下の3点があります。
所得制限の撤廃
所得制限は令和3年(2021年)1月1日以降に拡充されました。従来は夫婦合算の所得額が905万円未満という制限がありましたが、それが撤廃されました。そのため、妻の年齢が43歳未満という年齢制限を満たしていれば回数制限はあるものの助成を受けることが可能になります。ここでいう年齢は、通算1回目の助成時における治療開始日時点の年齢となります。また、この助成回数は、他の自治体(道府県・指定都市・中核市)での助成を含むことに注意ください。ただしこの助成回数については今回の制度の拡充により追加されたリセットを利用することで、制限の中で従来の上限回数以上に助成を受けられることになります。
条件 | 通算回数 |
---|---|
妻の年齢が40歳未満で通算1回目の助成を受けた夫婦 | 通算6回まで |
妻の年齢が40歳以上43歳未満で通算1回目の助成を受けた夫婦 | 通算3回まで |
助成額の増額
「1回の治療」に対する助成額は下記表の通り増額されています。
- 「1回の治療」とは、採卵準備のための投薬開始から、体外受精・顕微授精1回に至る治療の過程を指します。また、以前に行った体外受精・顕微授精により作られた受精胚による凍結胚移植も1回とします。
- 「1回の治療」の終了日とは、妊娠の確認の日(妊娠の有無は問いません。)または医師の判断によりやむを得ず治療を中止した日を指します。
ステージ | 内容 | 助成額(~2020) | 助成額(2021~) |
---|---|---|---|
A | 新鮮胚移植を実施 | 20万円(初回30万円) | 30万円 |
B | 凍結胚移植を実施 | 25万円(初回30万円) | 30万円 |
C | 以前に凍結した胚を解凍して胚移植を実施 | 7.5万円 | 10万円 |
D | 体調不良等により移植のめどが立たず治療終了 | 15万円(初回30万円) | 30万円 |
E | 受精できず、または、胚の分割停止、 変性、多精子授精などの異常授精等により中止 | 15万円(初回30万円) | 30万円 |
F | 採卵したが卵が得られない、 又は状態のよい卵が得られないため中止 | 7.5万円 | 10万円 |
G | 卵胞が発育しない、又は排卵終了のため中止 | 対象外 | 対象外 |
H | 採卵準備中、体調不良等により治療中止 | 対象外 | 対象外 |
助成回数のリセット
従来は助成回数には上限がありましたがそれが撤廃されています。リセットの条件は下記のとおりです。年齢制限の範囲内においては出産等によりリセットが可能になります。
- 特定不妊治療費助成事業の助成を受けた後(他の自治体での助成も含みます。)、出産した場合と妊娠12週以降に死産に至った場合は、これまで受けた助成回数をリセットすることができます。
- リセット後の助成上限回数は、リセット後に初めて助成を受けた治療の開始時の妻の年齢で下記のとおり再決定します。
これまでは、第2子の不妊治療のために助成金を取っておこうという方もいらっしゃったかもしれませんが、それが不要になるのはありがたい話ですね。ただしこちらは注意が必要です。
妻の年齢とすでに受けた助成回数によっては助成回数が減る可能性があります
(例)妻が39歳のときに助成を2回受け第1子を出産し、41歳になってから第2子のための治療を開始
リセットしなかった場合の残り回数は4回
リセットした場合の残り回数は3回
これは、冒頭で説明した通算1回目の助成時における治療開始日時点の年齢で決定する、という条件の影響になります。第2子以降をお考えの方はご自身の治療開始の年齢とこれまでの助成回数を考慮したうえでリセットを申請するか検討してください。助成回数のリセットは希望の書類を提出する必要があることも忘れないでください。
まとめ
1. 所得制限の撤廃、2. 助成上限の増額、3. 助成回数のリセット、の3点が2021年1月1日からの大きな変化点になります。第1子で助成金を使い切ってしまい第2子を躊躇っていた方も、この新制度を利用することで新たに助成を受けることが可能になります。2022年4月からは不妊治療も保険適用になるといわれており、それまでの間の措置とされていますが、不妊治療をお考えの方は忘れずに活用しましょう。